大切な家族の家が、いつの間にかゴミ屋敷になっていた。そんな現実に直面した時、多くの人はショックを受け、戸惑い、そして「どうしてこんなことに!」と本人を責めてしまうかもしれません。しかし、その行動は問題をさらにこじらせ、当事者を深い孤立へと追い込む危険性があります。もし、家族のゴミ屋敷の背景に、うつ病や発達障害、溜め込み症といった障害の可能性を感じたら、まずは接し方を変える必要があります。最も重要なのは、決して本人を頭ごなしに非難したり、強制的にゴミを捨てたりしないことです。特に溜め込み症の場合、本人にとってモノは自分の一部であり、それを無理やり奪われることは、心に深い傷を残します。まずは「心配している」という気持ちを伝え、安全や健康を気遣う姿勢を見せることが大切です。その上で、「何か困っていることはない?」「一緒に考えていこう」と、対話の扉を開きましょう。本人が自分の問題を認識し、助けを求める気持ちになるまで、根気強く寄り添う姿勢が求められます。次に、一人で抱え込まず、外部の専門機関に相談することです。地域の保健所や精神保健福祉センター、発達障害者支援センターなどが、専門的な相談窓口となります。そこでは、医療機関の受診をどう促すか、利用できる福祉サービスは何か、といった具体的なアドバイスを得ることができます。また、ゴミ屋敷の片付けを専門とする業者の中には、福祉的な視点を持ち、当事者の心情に配慮しながら作業を進めてくれるところもあります。単にゴミを撤去するだけでなく、その後の生活をどう立て直していくか、という視点が不可欠です。家族ができることは、本人の障害を正しく理解し、治療や支援へと繋げるための橋渡し役になること。それは長い時間と忍耐を要する道のりかもしれませんが、本人を孤立させないことが、問題解決への最も確かな一歩となるのです。
家族の家がゴミ屋敷に!障害とどう向き合うか