ゴミ屋敷と化した実家

私の実家は、いつの間にかゴミ屋敷と化していました。最後に帰省したのは数年前。その時はまだ、物が少し多い程度だったと記憶しています。しかし、久しぶりに訪れた実家は、足の踏み場もないほどゴミで埋め尽くされていました。きっかけは、母の体調不良でした。一人暮らしの母を心配して連絡を取ると、どうも様子がおかしい。慌てて実家に戻ると、家の中は想像を絶する光景でした。台所には食べ残しが散乱し、風呂場はカビだらけ。リビングは、雑誌や新聞、衣類などが積み重なり、まるでゴミの山のようでした。母に話を聞くと、数年前から体調を崩し、思うように動けなくなったとのこと。最初は少しずつ片付けていたものの、次第に気力がなくなり、何もできなくなってしまったそうです。そして、ゴミに埋もれた生活を送るうちに、誰にも相談できず、ますます塞ぎ込んでしまったと言います。私は、母の変わり果てた姿にショックを受けましたが、同時に、何とかしなければと思いました。まずは、母を病院に連れて行き、診察を受けさせました。診断の結果、軽度のうつ病と診断され、治療を開始することになりました。次に、ゴミ屋敷の片付けです。業者に依頼することも考えましたが、母の気持ちを考えると、自分たちで片付ける方が良いと思いました。そこで、兄弟や親戚に声をかけ、みんなで実家の片付けに取り組みました。片付けは想像以上に大変でした。ゴミの量もさることながら、分別作業も一苦労です。一つ一つ物を手に取り、必要なものと不要なものを分けていくうちに、母の思い出の品がたくさん出てきました。昔の写真や手紙、子供の頃に使っていたおもちゃなど、懐かしい品々を見ていると、涙が止まりませんでした。片付けを通して、私たちは改めて家族の絆を感じました。みんなで協力し、汗を流しながら作業を進めるうちに、実家は少しずつ元の姿を取り戻していきました。そして、ゴミがなくなった部屋は、明るく、温かい空間へと生まれ変わりました。母も、部屋が綺麗になるにつれて、少しずつ元気を取り戻していきました。治療の効果もあり、笑顔を見せることも増えてきました。今回の出来事をきっかけに、私たちは定期的に連絡を取り合い、お互いを支え合うようになりました。ゴミ屋敷の片付けは、私たち家族にとって、大きな試練でした。しかし、その試練を乗り越えたことで、家族の絆はより一層深まりました。